タンブルウィード短編集2
戦争で文明が後退した未来、荒廃した大陸のどこか。傍若無人な弟に日々理不尽に虐げられる可哀想な兄がいた。
トレーラーハウスを転がす娼婦の私生児として生まれ、兄は鳩のように心優しく純情な好青年に、弟は燕のように自由奔放な無頼漢に育った。
ピジョンとスワロー、それが優男と色男の兄弟の名前。
どこに出してもお互い恥ずかしい凸凹コンビ。
ドS美形ナイフ使いの弟×真面目で心優しいヘタレ狙撃手兄のアウトローBL、短編集第二弾。アンデッドエンド移住後の話を収録しました。
男女の濡れ場描写・暴力描写あり。HはSM調教無理矢理おもちゃ羞恥言葉責めなど。
作者のTwitterアカウント @wKoxaUr47xGeAZy
(作品の裏話や情報を更新しています)
■登場人物■
ピジョン(リトル・ピジョン・バード)受 (画像右)
娼婦の私生児。スワローの腹違いの兄で心優しく温厚な性格。滅茶苦茶やらかす弟の身を常に心配している。狙撃手。
スワロー(ヤング・スワロー・バード)攻 (画像左)
娼婦の私生児。自由奔放で大胆不敵な弟。腹違いの二歳上の兄・ピジョンに執着する。性的に無軌道で男とも女とも寝るし、ピジョン以外の男には受けに回ることもある。凄腕ナイフ使い。
呉(ラトルスネイク)
アンデッドエンドに拠点をおくチャイニーズマフィア『蟲中天』の幹部。蛇の遺伝子を組み込まれたミュータント。
劉
呉の舎弟でピジョン&スワローの腐れ縁の悪友。隠れミュータントで蜘蛛の特性を秘めた糸使い。
怠惰で無気力なヘビースモーカー。何かとトラブルに巻き込まれがちなお人好し。
神父(ナイトアウル)
アンデッドエンドのスラム街ボトムで教会兼孤児院を営む神父。一見柔和で温厚な好人物だが大きな秘密を持っている。
元賞金稼ぎで狙撃手。ピジョンの師匠となる。呉とは過去にコンビを組んでおり体の関係もある。
スイート
ピジョンとスワローが知り合った風俗嬢。「ミルクタンクヘヴン」の売れっ子。心優しく天然なアホの子。ピジョンちゃんとは大の仲良し。
■本文サンプル■
スワローの手が膝を這って股間へもぐり、ズボンの上から膨らみをなぞりだす。
「ぅ……やめろ……バレたらどうする」
「よく見ろ」
含み笑いに促されて暗がりに眼をこらし、ぎょっとする。
間隔をあけて座った二人一組の客たちが、ある者は男の膝にのっかり、ある者は互いに服をはだけて口を吸い、張り合うように破廉恥な行為に及んでいる。
「ああんっ、いい、そこぉ、やめないで」
「あッふぁッやぁあああああああッ、すっごい太いのォだめェ」
「んあッ、ふぅうッ、もっと強く」
どうして気付かなかった。
スクリーンにかかる映画そっちのけで過激な前戯をくり広げる観客に開いた口がふさがらない。
ギシギシと席を軋ませて上下動する恋人たちの群れを正視するにしのびなく俯けば、スワローがやわやわとペニスをもみほぐし、下着の中に入ろうとしてくる。
「……今、映画中……」
「こんな状態じゃ頭に入んねーだろ」
「頼む……人前でこんな、無理だ、できっこない……」
「誰も見てねェって。見せ付けてやんなら別か?」
茹だりきった頭がぐるぐるする。
嫌だと叫ぶ理性と裏腹に、周囲で絶え間なく上がる喘ぎ声や衣擦れの音、スクリーンの痴態に触発されて股間が固くなっていく。
コートの裾を掴んで引き下ろし、股を隠す。
「ほっといてくれ」
もうすぐだ、もう少しの辛抱だ。
キツく目を瞑り、音声が無理ならせめて映像だけはやり過ごそうと努める俺に、スワローがシートを倒してすりよってくる。
「!ッく、ぁ」
ズボンの中に片手を突っ込み、下着ごしに揉みしだかれる。
ボクサーパンツに恥ずかしい染みが浮き、ペニスと密着する布地が黒く淫猥にかたどられる。
「蒸れ蒸れだな。初体験のポルノ映画で勃起か」
「スワロっ……へん、なとこ、いじるな……手、ぬけ……」
「布越しでも糸引きそうだ」
手首に縋り付き懇願するも、拒み通すには強引すぎる。
ボクサーパンツの中心を緩く撫で擦られ、敏感に高められたペニスがひくひくする。
湿り気を帯びた下着の気持ち悪さに膝が突っ張り、吐息が震える。
「!!っあ、」
今度は直接、下着の中へ。
くちゃくちゃとカウパーを捏ね回す音……スワローの手を、じかに感じる。俺のモノを掴んでしごき、先端に指をひっかけ、鈴口にとぷりと盛り上がった先走りをぬりこめる。
「映画館で手コキされてコーフンしてんの?感じまくりじゃん」
「……ちが……」
「ド淫乱。イきそうなカオ、みんなに見てもらうか」
前屈みになって首振るしかない俺を、スワローが言葉でねちねちいじめる。
周囲は暗がりに包まれてよく見えないが、甲高い喘ぎに交じる太い吐息やシートの激しい軋みで、何が行われてるか容易に想像付く。
人工の暗闇がいやがおうにも想像力を刺激する。
スワローが唐突にごそごそとやりだし、何かを取り出す。手元は暗くて見えない。
モッズコートの裾をはためかせて風を送り、股間の熱を冷まそうと躍起になっていた俺は、手遅れになるまで弟の企みに気付かない。
「?スワ、ロ、なに」
スワローが意味深に手を翳す。
ズボンの上、股間の中心に、何か冷たく固いかたまりが固定される。
刹那―
ヴヴヴヴヴヴッ!
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッあ!?」
凄まじい刺激に襲われ、ひとりでに身体がはねる。
電動の甲高い唸りは映画の音声がかき消してくれて事なきを得たが、残酷な振動は止まらない。
俺の股間に押し当てられたプラスチックの卵の正体は、ローターだ。
「あッ、あぁッ、うぁ、あーッ」
行儀悪く片膝がはね、尻がずり落ちる。開きっぱなしの口から赤ん坊みたいな呻きが上がる。ズボンの上からでも凄い刺激だ。
「音が聞こえちまうから中入れるぜ」
「待、」
びくん、と仰け反る。
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