実験生物の観察レポート
万能物質『スライム』
ある惑星を探査した時に発見された
鉱物、生物、植物など
知識さえあればあらゆる物に変化させられる
「すごい…もしかしてこの生物もですか?」
「あぁスライムで作られている」
「作ったのはまさか!」
「あぁ私だ、作れるのも私だけ」
「さすが所長です!」
「ははは…」
すごいか
運だけはすごいかもしれない
スライムは未知の物質だ
その影響で私はある日突然
スライムの使い方を知った
それだけで今の地位にいる
ただ、良い事ばかりじゃなかった
私のようにスライムの知識を得た者
知識は得なかったが生きのこった者
その何倍もの人間が狂って今病院にいる
それでも人が集まってくるのは
注目されている研究だからだろう
金が集まってきて待遇が良い
この若い研究者もそれに釣られたのだろう
気が狂うかもしれないのに
いやもうすでにここにいる連中も
みんな狂ってるのかもしれない
「すごいですね〜」
「…どう思うかね」
「はい!所長はすごいと思います!」
「いや、私の事ではなく」
「…?」
「あぁいや何でもないんだ」
受け渡しの書類を渡す
「実験で使うから実験体を一体出してくれないか」
「わかりました!」
実験体の乗ったカートを押して自室に向かう
途中研究員と何人かすれ違った
いつも通りみんな私に挨拶をする
そして実験体を見る目もいつも通りだ
私はずっと不思議だった
なぜ実験体に誰も反応しないんだと
私にはこれが
人間の女性に見えるのに
しかも最高の身体の女性に
自室に実験体を入れカギをかける
ここなら何をしても問題ない
最初は疑っていたが今は確信している
周りの研究者は実験体を人として見ていない
モルモットを見る時の目が一番近い
スライムの影響で認識が狂っているのかも
わからないがそれもどうでもいい
もういいんだ
仕事中に興奮が収まらず
何度トイレに駆け込んだかわからない
そんな日々にいい加減疲れて
ついに嘘までついてこんな事までしてしまった
だがきっと大丈夫だろう
どうせみんな私が自室で
個人的な研究をしている程度にしか思わない
もう後戻りをする気はない
やるべき事をする
本日から実験生物の観察をスタートする
観察レポート 一日目
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