ふたりの母、ソフィアと楓〜リアライジング・ドールズ〜
gyss0303 ふたりの母、ソフィアと楓〜リアライジング・ドールズ〜
☆姉妹作→gyss0302 絆の鎖〜リライジング・シスターズ〜
「ソフィアさん。僕たちの子は、元気に育っています。本当に、何もかも、あなたのおかげです!」
小奇麗な入院病棟の病室。
灰色の長髪を縛ったその妙齢の女性は、自身に感謝する若者にあたたかいまなざしを向けた。
「私は、ただの卵子提供者です。がんばるのはこれからですよ、楓さん。旦那さん。」
鳳 楓(おおとり かえで)。
シンギュラリティ・ドールズ モデルHanako.88。
愛すべき存在に身受けられ、新しい名前をもらった彼女は、大きなお腹を撫でながら、恩人に礼を言う。
「人工子宮に命を宿すのは、結局人間っすからね〜。あなたと旦那さまからもらった命、花子が命にかえても、守り切るっす!!!」
「ふふっ。私も、あなたの旦那さまに、新しい命を、片方もらいましたから。」
ソフィア・クロムエルは、自身への精子提供者である若者とその妻ーーー愛をもらった人形との仲むつまじい関係に、また微笑む。
楓と比べ、まだ小さいお腹を撫でながら、だが確かに、そこに宿る命の鼓動を感じた。
「一方には他者の卵子を望む者がいて、一方には他者の精子を望む人がいる。わたしたち二人とも、よき母となるべく、精進しましょう。」
「はいっす!!神妙さん…あっ、こっちは仕事の名前でしたねっ。ええと、ソフィアさんっ!!」
「ふふっ。この子たちの、名前も、決めないとねっ。」
花子と神妙ーーー楓とソフィアーーー未来人形と古典的なメイドは、おたがい、お腹の子をすりよせるように、暖かな肌と肌をぶつけた。
「私はこの子に、……あなたの、妹の子に。澄ちゃん、って名付けようと思います。」
「澄ちゃん!清らかな名前っすね。うーん、じゃあ花子は……淀ちゃん!深みのある、どっしりとした名前っす!!ふふっ、淀ちゃんっ☆あなたは澄ちゃんのお姉ちゃんっす☆」
淀と澄。姉と妹。ふたりの母が決めた、生まれてくる子どもの名前の提案に、若者も微笑んで同意した。
「淀。澄。姉妹らしい、いい名前です!きっと仲良しに育ちますよっ!!」
「私たちの子。産んだ母は違えど、その遺伝子は同じ。きっと本当の姉妹として、打ち解けられるでしょう。」
「はいっす!!!ふふっ。よーどちゃーんっ☆☆うふふっ。花子の赤ちゃんは、淀ちゃんっ☆☆☆」
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「ふふっ。」
神妙は、炊事をしながら、昔のことを思い出した。
花子がこの『ジナンドロモーフ・シスターズ』の世界に現れたこと。
妖たちが『シンギュラリティ・ドールズ』の世界から、淀を連れ出したこと。
神妙たちメイド姉妹は、何もかもを知っていながら、ただ娘たちの成り行きにすべてを任せていた。
「イルマ。夢子。ラヴ。今日はちょっと、豪華なデザートでも買ってきましょうか。」
「なんでっさ?」「神妙さん、家計の苦しさは知っているぞ。この家、ちびっ子が何人いると思っている。」
「もう、ラヴも夢子も!こんなチャンス、めったにないわよっ!!行くわよっ、サイフ使い放題のチャンスなんだからっ!!!」
居候のメイド3人とともに、神妙はコンビニへと夜の街に繰り出した。
「あっ、ノヴェルちゃん。」「なに?」
お留守番を頼んだノヴェルにーーー実の娘と契りを結んだ義理の孫に。神妙は優しく投げかけた。
「花子さんが……ひとりで、泣きながら帰ってきても。何も言わないであげてねっ。」
驚くノヴェルに背を向け、神妙はいつもの澄んだ眼付きで、淀んだ夜帳の街へと歩みを進めた。
ーーーシンギュラリティ・ドールズ 完。
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<商品仕様>
ストーリーメインのCG集。
画像基本1枚。差分込み全12ページ。
画像サイズ <4KUHD> 3840×2160 <FullHD> 1920×1080
[HP]
[e-mail] sgmcomplex@gmail.com
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