ナノマシン被験体07:受験生・恭美子 report2
「……どんな知識でも0.1秒で脳に入るのに、なんで大学に行く必要があるんですか?」
志望校に合格したい女学生が、引き続き研究者からナノマシンによる『教育』を受けた結果、脳内を効率化されて人生観が変わる話。
文字数は14,000〜15,000文字。
「……んっ」
昨日と同様に、恭美子の脳内に膨大な量の情報が流れ込んでくる感じがした。
だがそれは、外から流し込まれているのではなく、自分の中にしまい込まれていた過去の記憶が再生されているのだと、すぐに分かった。
(これは、すごく小さかった頃の私……)
脳内を流れ去っていく記憶を眺めながら、恭美子はぼんやりとそう思った。
小さい頃、彼女は公園のすべり台が好きで、来る日も来る日も、何十回も何百回も滑った。
その時にあった様々な細かい感情、本人以外誰も覚えていないであろう些細な記憶。
それらを不要な情報として削除・整理し、全体を「小さい頃はすべり台が好きだった」という単純な情報にまとめる。
「うぅ……」
ささやかながらも懐かしい思い出の消去に、恭美子は微かな抵抗を覚えた。
ナノマシンがそれを、敏感に感知する。
『被験体は、生体脳の抵抗を軽減し、円滑な作業を行うために、快楽中枢を刺激してください』
紹介メイン画像およびサムネイル画像に、AI生成画像の加工品を使用しています。
作品ファイルには、AI画像は含まれていません。
Powered by FANZA Webサービス