



悪夢のメルマガ〜堕ちた妹は還れない〜
「お帰りなさい、お兄ちゃん」
数年ぶりの帰郷。
最初に俺を迎えてくれたのは、妹の‘那奈(なな)’だった。
妹と分かってるのに、すっかり女性らしくなった那奈に、ドキドキが収まらない。
俺が出立する時は、お世辞にも女らしいとはいえなかった。
なのに、今は……。なにを考えてるんだ俺は。妹だぞ?
その日の深夜。部屋の外からドアの音が聞こえた。
おそらく那奈が部屋から出てきたんだろう。
声をかけようと姿を追ったが、
見えてきた玄関になんともいえない気持ちになってしまった。
「こんな時間にどこ行くんだ」
那奈がどうしていいか分からないと、あの、そのを繰り返してきた。
そんな姿にどこか安心してしまう。
変わったのは身体つきだけ。中身は少し気弱な妹のままだ。
玄関へと手を伸ばし、鍵を開けてやる。
「朝までに帰ってくればいい。約束してくれ。
父さんや母さんに、心配かけさせるようなことはしない、と」
「…うん、わかった。ありがとう、お兄ちゃん。そして、ごめんなさい……」
それから数週間。たびたび夜に出かけていく那奈。
だが、今のところ咎める気はない。その気は、無かった。
――そんな俺に、あの‘悪夢の始まりを告げるメール’が届く……。
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